徹底分析シリーズ 神経精神疾患と麻酔
注意欠如・多動性障害(ADHD)—メチルフェニデート,アトモキセチンが麻酔薬に及ぼす影響
小坂 美樹
1
,
飯島 毅彦
2
Miki KOSAKA
1
,
Takehiko IIJIMA
2
1東京小児療育病院 歯科
2昭和大学歯学部全身管理歯科学講座 歯科麻酔科学部門
pp.1234-1239
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200454
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注意欠如・多動性障害attention-deficit/hyperactivity disorder(ADHD)は,不注意・多動性・衝動性を主な症状とし,日常生活に支障がある場合に診断される。ほとんどが小児期に診断され,成長とともに多動性は落ち着いてくる。小児では約5〜8%の有病率であるが,成人では不注意などの症状が残存するものの診断が困難になるため,約2.5%に留まる。小児期に多動性が少ない場合は,成人になってから診断されることもある。
ADHDの薬物治療として日本では,2007年に中枢神経刺激薬であるメチルフェニデート,2009年にノルアドレナリン再取り込み阻害薬のアトモキセチンが小児へ,2012年には成人への使用が承認され,高い治療効果が得られている。ADHDを伴う患者は慣れない場所への適応が難しいため,簡単な処置でも困難なことがある。てんかんや自閉症スペクトラム障害などが併存することも多く,麻酔導入が難しいとともに,治療薬の作用により麻酔薬の反応性が予測できないこともあり,麻酔科医が悩まされることは多い。
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