症例検討 肺水腫
帝王切開後の肺水腫—帝王切開術中の低血圧を即,出血と思うべからず
永納 和子
1
Kazuko NAGANO
1
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 麻酔科
pp.1162-1166
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200436
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症例
39歳の初産婦。身長160cm,体重70kg。切迫早産のため妊娠33週から管理入院となり,ウテメリンⓇの持続投与を受けていた。妊娠37週5日に自然陣発し,分娩経過中に胎児徐脈となり緊急帝王切開が依頼された。迅速導入を行い,手術開始から3分後に児を無事に娩出したが,児娩出後も血圧が低く,ショックインデックスも1以上で推移したため,晶質液(2000mL)および膠質液(1000mL)を輸液した。出血量は羊水込みで1200mLであった。
手術終了後に筋弛緩薬を拮抗し,十分な覚醒を確認してから抜管したところ,患者の意識は清明であったが,5L/minの単純フェイスマスクからの酸素投与にもかかわらず,経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)は92%までしか上がらなかった。
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