実地臨床手技のエッセンス 分娩管理へのアドバイス
帝王切開
藤原 敏郎
1
,
林 知節
2
Toshiro Fujiwara
1
,
Chisetsu Hayashi
2
1大阪北野病院産婦人科
2天理病院産婦人科
pp.613-616
発行日 1979年8月10日
Published Date 1979/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206084
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従来は,経腟分娩こそ産婦人科医の腕の見せどころという考え方もあったと思うが,必要なときにはそれにこだわることなく,いさぎよく帝切に踏みきるべきであり,われわれはここ何年間か鉗子手術は経験しておらず,吸引分娩か帝切のみである。吸引分娩では不能でも鉗子では分娩可能という例も当然あるが,そのような例に鉗子分娩を行なうのが良いか帝切の方が良いかということも当然考えねばならない。従来の出口鉗子は,吸引分娩におきかえられるとすれば,鉗子を必要とするのは,高位鉗子その他特別の鉗子手術であり,これは経験によれば児の予後に対して問題が多すぎる。したがって近年帝切の頻度が増加していることは当然のことであり,国内はもちろん国外においても同じ傾向である。最近一般の生活設計のありかたや分娩に関する医事紛争のことなどが一層その傾向を助長していることも否めない。
帝切は始めから終わりまで視覚下で習熟させられるのに対して,鉗子手術の習熟にはファントームの使用によっても粗雑であり,シミュレイターのようなものが考案されなければ鉗子手術を教えることのできる医者も減ってしまうことも考えられる。
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