症例検討 体腔内圧のトラブル:その原因と対処法
胸腔内圧の異常:緊張性気胸—肺エコーで切り抜けろ
髙橋 伸二
1
Shinji TAKAHASHI
1
1筑波大学医学医療系 手術部(麻酔・蘇生学)
pp.838-843
発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200360
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症例
50歳の女性。身長150cm,体重50kg。自宅で誤って階段から落ち,右手首,右胸部を強打した。X線検査で,右橈骨,尺骨骨折が判明し,緊急観血的修復術が予定された。胸部X線写真では明らかな肋骨骨折はなく,気胸もなかった。受傷後3時間で手術室に入室した。
モニター装着後,プロポフォールで導入,ロクロニウムで筋弛緩を得た後,経口気管挿管した。胸部聴診上,左右差はなく,SpO2も100%であった。人工呼吸器はFIO2 0.4,pressure controlled ventilation(PCV)で最大吸気圧15cmH2O,呼気終末陽圧(PEEP)4cmH2O,呼吸数10回/minとした。1回換気量は500mLであった。麻酔維持は,セボフルラン1.5%とレミフェンタニルで行った。
体位を取り消毒を開始すると,徐々にSpO2が低下した。次第に頻脈,低酸素血症が進行した。
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