Japanese
English
特集 制御からみる呼吸と循環
胸腔内圧の制御と循環機能
Intrathoracic Pressure and Cardiovascular Function
佐久間 聖仁
1
,
岡部 慎一
1
,
白土 邦男
1
Masahito Sakuma
1
,
Shinichi Okabe
1
,
Kunio Shirato
1
1東北大学医学部第一内科
1Department of Internal Medicine I, Tohoku University School of Medicine
pp.659-663
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901511
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胸腔内圧の制御
肺自体は随意的に伸縮できる機構を備えていないので,呼吸に必要な肺でのガス換気には口腔内圧と胸腔内圧の圧較差(肺内外圧差)が駆動圧として働く.自発呼吸では,呼吸筋の収縮弛緩による胸腔内圧変化によって受動的に伸縮させられ,肺へのガスの出入りが起こる.つまり,自発呼吸時には胸腔内圧を変化させることによって呼吸筋活動は換気運動となりうるわけで,胸腔内圧の制御とは呼吸の制御にほかならない.
われわれの呼吸は,絶え間なく,刻々と変化する酸素消費と炭酸ガス産生の中で動的な安定性を保っている,動的な安定性を保っためには強力な調節系の関与が必要である.図1に呼吸調節系の概略を示したが,呼吸調節系としては行動性調節,化学調節,神経調節の三種が考えられている.このうち化学調節系,特に動脈血炭酸ガス分圧を介したフィードバック機構は呼吸調節の中心的役割を果たしている.動脈血炭酸ガス分圧が上昇すると中枢性の化学受容体が刺激され,呼吸筋活動が活性化される.呼吸筋活動の活性化により呼吸回数の増加と1回換気量の増加がもたらされ,換気量が増大する.換気量の増加は,結果として動脈血炭酸ガス分圧を低下させる.
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