特集 急性心不全
【コラム】心機能の生理―圧・容積関係を中心に
新家 俊郎
1
Toshiro SHINKE
1
1神戸大学大学院医学研究科内科学講座 循環器内科学分野
pp.662-670
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100340
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急性,慢性を問わず心不全を診断し,正しく治療を行うためには,心筋の収縮・弛緩と心ポンプ機能の生理を理解する必要があると思われる。古くから単離心筋を用いた基礎研究が広く行われ,心筋の収縮と拡張を制御する法則として,張力・心筋長の関係(Starling効果),アドレナリン作動性刺激adrenergic drive,力・収縮頻度関係などが挙げられてきた1)。さらに生体内での心ポンプ機能調節においては,心筋自体の収縮・弛緩調節と動静脈血管系,神経ホルモン系からの調節機構が連携し,最適に制御されている。心不全状態においてはこれらが代償機構として働き血行動態を維持するが,ときに破綻して急性心不全の病態を呈する。
本稿では,教科書的に書かれている「心機能は前負荷,後負荷,心室の収縮性および心拍数によって規定される」という心機能生理を,より臨床の現場で役に立つ形で理解することを助けるために,心室圧・容積関係(圧・容積関係)を中心に概説する。
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