症例検討 麻酔でよく用いられる薬物の副作用
プロタミンによる低血圧―ヘパリン拮抗時のショックに注意!
瀬尾 勝弘
1
,
川島 正章
1
SEO, Katsuhiro
1
,
KAWASHIMA, Seishou
1
1社会保険小倉記念病院 麻酔科・集中治療部
pp.394-397
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101209
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症例
69歳の男性。身長174cm,体重70kg。労作時の息切れと胸部不快感を主訴に来院した。心電図上,胸部誘導でST部分の低下を認めた。冠動脈造影で3枝病変が指摘された。心エコー図検査上,前壁中隔の高度壁運動低下を認め,左室駆出率は50%であった。8年前から糖尿病を指摘され,2年前からインスリンの投与を受けている。
ミダゾラムとレミフェンタニルの持続静注で導入した。レミフェンタニル持続静注とセボフルランで麻酔を維持した。ヘパリン1万単位を静注して抗凝固を行い,ACTは250秒となった。その後,ヘパリン4000単位を追加した。心拍動下で冠動脈バイパス4枝終了後に,プロタミン50mgを投与したところ,血圧が100/70mmHgから56/32mmHgへと低下し,心拍数は68bpmから56bpmとなった。肺動脈圧は28/12mmHgから46/26mmHgへと上昇した。経食道心エコーで,左室壁運動の全体的な高度低下を認めた。
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