連載 漢方の歩き方 レーダーチャートで読み解く痛みの治療戦略:第16回
補う
矢数 芳英
1,2
1東京医科大学病院 麻酔科
2温知堂 矢数医院
pp.402-410
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200196
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荒:とうとう戦略も残すところあと二つですね。
矢:そうですね。今回は「補う(不足を補う)」戦略(図1)についてです。
福:「補う」には,どのような処方を使うのですか?
矢:例えば,48.十全大補湯や,41.補中益気湯です。
荒:41.補中益気湯は体力を補うとよく知られていますね。48.十全大補湯も知っています。免疫力を上げる薬ですよね。
福:48.十全大補湯は,術後の患者さんや,癌患者さんによく使われています。
矢:そうですね。無作為化比較試験(RCT)1)でも,消化器癌の術後や,抗癌剤併用時の免疫能の改善に有効であったというデータが示されています。
荒:48.十全大補湯は,癌患者さんに処方されているのをよくみますけど,がん性痛に対して効くのですか?
矢:それだけとは限りませんよ。どのような病態の痛みに使うと効果があるのか,実際の症例をみていきましょう。
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