連載 当世 問はずがたり
医者の上から目線
石黒 達昌
pp.319
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200167
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- 文献概要
教育は子供の権利であり親の義務である,と憲法に記されています。もっとも,権利を主張するならば,そこには義務も発生するもの。教育に関するならば,そこには自己努力が必要ということが含まれているわけで,教師だからといって,家庭学習を怠る子に及第点を取らせなくてはならないということはない,に異論を唱えるのは一部のモンスターペアレントくらいなものでしょう。で,最近,ふと,先生と呼ばれている医者も,ムンテラの席ではある意味,教育者であり,患者やその家族という生徒に教えているんじゃないかと思うのです。
もちろん予習はできないのですから,一から教えることになります。外来や回診の限られた時間でどこまで教えられるかは,皆さんご承知の通りです。でも,学校教育と違って,医者が宿題を出すことはまずありません。まず,と言ったのは,例外があるからです。例えば,抗癌剤の使い手として有名な平岩正樹先生(私の先輩ですが)は,自分が治療を引き受けるかわり,患者さんに自分の病気について勉強してくることを要求したそうです。ちゃんと勉強してこない患者には,ほかで治療を受けてくださいと言うこともあったとか。まさに権利は義務を伴う,です。
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