徹底分析シリーズ 痛み治療の素朴な疑問に答えます
神経障害性痛に対する抗うつ薬の作用機序は?—ノルアドレナリンの増加が重要!
小幡 英章
1
Hideaki OBATA
1
1群馬大学大学院医学系研究科 脳神経病態発達統御学講座 麻酔神経科学
pp.20-23
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200093
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本来は鎮痛薬ではない薬が,慢性痛に対して鎮痛作用を発揮する場合がある。抗うつ薬はその代表的なものである。例えば読者は,抗うつ薬を術後鎮痛のために使うことはないであろう。しかし,抗うつ薬は神経障害性痛の薬物療法には第一選択であり,がん性痛に対しても鎮痛補助薬として使用されている。具体的には,古くからある三環系抗うつ薬tricyclic antidepressant(TCA)や,比較的新しいセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬serotonin-noradrenaline reuptake inhibitor(SNRI)などが使われる。ところが,うつ病に対して頻用されている選択的セロトニン再取り込み阻害薬selective serotonin reuptake inhibitor(SSRI)は慢性痛にはあまり有効でないとされている1)(メモ1)。なぜこのような現象が生じるのか。ここでは主に,神経障害性痛に対する抗うつ薬の作用機序について解説する。
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