連載 Tomochen風独記
⑨産科麻酔
山本 知裕
1,2
1アスクレピオス小児病院ザンクトアウグスティン
2ドイツ心臓センターアスクレピオス病院ザンクトアウグスティン 麻酔科
pp.914-915
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102234
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- 文献概要
■■■産科が併設されて 私が勤務している市中病院は,小児病院に小児心臓センターが併設されており,その両方をわれわれ麻酔科がシフト制でカバーして麻酔科業務を行っていることは,以前にご紹介した通りです。そこへ5年ほど前に産科が加わりました。私がドイツへ来た時点で,すでに産科はありましたので,それ以前の様子はわかりませんが,同僚によると,産科ができてからというもの,病院側からの事前の説明とは比較にならないほど,麻酔科と手術部の負担が増大したそうです。また,それ以前は麻酔科医も麻酔看護師もオンコール制だったようですが,超緊急帝王切開に対応できるように当直制になりました。私としては,小児病院も心臓センターもあるのですから,先天性心疾患や髄膜瘤などの先天性疾患をもった赤ちゃんの分娩を引き受けるのは,理にかなっていると思います。しかし,当院の産科は一般の妊婦さんまで手広く引き受けていて,一般的な産科病院と同じような機能を果たしているうえに,当院での帝王切開率が高いので,否が応にも麻酔科と手術部の負担が非常に大きくなっています。 ドイツの帝王切開率は平均で15%強と,日本とさほど変わらないようです。しかし,当院の帝王切開率は,正確に数えたわけではありませんが,私も同僚も,控えめにいっても25%をはるかに超えている印象です。先天性疾患などの胎児側の適応,前置胎盤などの母体側の適応のみならず,単に「陣痛が嫌」という“母親の希望”でも,帝王切開を行っています。そのため,当院の麻酔科と手術部がかかわる麻酔業務のうちで,産科に関する業務が非常に大きなウェイトを占めています。
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