連載 小児の耳鼻咽喉科・頭頸部外科シリーズ
⑨めましの診断と治療
船曳 和雄
1
,
内藤 泰
1
1京都大学大学院医学研究科感覚運動病態学講座聴覚言語領域
pp.379-384
発行日 2000年5月20日
Published Date 2000/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902195
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はじめに
めまいを主訴として耳鼻咽喉科を受診する患者は中高年者が多く,小児のめまい症例は比較的少ない。これには末梢前庭由来のめまい疾患に罹患するのは中高年以上の患者が多いという理由のほかに,小児の場合ははっきりとめまいを訴えることができず,なんとなく転倒しやすいといった運動失調として母親が気づくことが多いためでもある。また,まず小児科を受診し,症状が一過性のものであるため耳鼻咽喉科を受診するに至らない例が少ないことも一因と考えられる。このように耳鼻咽喉科で小児めまい例を診察することは比較的稀で,また検査,診断,治療も成人例と同じようにはいかず,臨床の場で対処に苦慮することも少なくない。
本稿では,われわれ耳鼻咽喉科医が小児のめまい症を扱うに際し,成人例と特に異なる点を中心に述べたいと思う。
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