シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際
⑨人工内耳埋め込み術
河野 淳
1
,
萩原 晃
1
,
山口 太郎
1
,
坂本 典子
2
,
鈴木 衞
1
1東京医科大学耳鼻咽喉科
2東京医科大学病院13階西病棟
pp.984-992
発行日 2006年11月20日
Published Date 2006/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100807
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Ⅰ はじめに
昨今の医療状況の変化には著しいものがあり,医療費の適正などを目的に診断群分類(diagnosis procedure combination:DPC)1)による包括的診療報酬制度が導入され,多くの病院に広がっている。人工内耳埋め込み術は高度難聴者への治療法として確立された治療法であり,日本全国で約90施設,年間400~500例の手術がなされている2)。人工内耳埋め込み術は,一般的な耳科手術である鼓室形成術に比べて特に難しいということはないが,内耳を開窓するという意味で特殊といえる3)。世界には大きい3つのメーカーがあり,時代の経過に伴い機種も進歩しており,しばしば手術方法が変化して機種による多少の差異はあるもののその概要は基本的に同じである。その詳細は手術書3)を参考にしていただくとして,本手術においては術後経過や注意点がはっきりしているので,クリニカルパス(以下,パスと略す)の導入に当たっては比較的施行しやすいと思われる。
われわれの病院では,一時期鼻科手術, へん桃手術においてパスを使用した経験があるが,比較的バリアンスが多いため,かえって現場での指示出しが多くなり現在パスは使用していない。この点,耳科手術,特に人工内耳埋め込み術においては,医療内容の明確化,医療の標準化,業務の効率化,医療の質の向上などを目的としたパスの導入4)は,バリアンスが少なく比較的容易と考えられ,症例を通した臨床医,現場サイドの立場からここに紹介する。
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