徹底分析シリーズ 研修医の素朴な疑問に答えます 病態生理を中心に
尿が出ていれば腎不全にならないのか:腎臓の働きを理解しよう
伊藤 秀和
1
,
祖父江 和哉
1
Hidekazu ITO
1
,
Kazuya SOBUE
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科 麻酔・危機管理医学分野
pp.844-846
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102218
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
腎機能低下を早期に検知し治療を開始するため,急性腎障害acute kidney injury(AKI)という概念が定着しつつある。AKIの基準は2004年に提唱されたRIFLE分類1)と,RIFLE分類をもとに2005年に提唱されたAKI network(AKIN)分類2)があるが,どちらも血清クレアチニン(Cr)値の上昇および尿量の低下が診断基準に含まれる(表1)。AKIN分類でAKIは「48時間以内に血清Cr値が0.3mg/dL以上上昇した場合,または血清Cr値がそれ以前7日以内にわかっていたか予想される基礎値より1.5倍の増加があった場合,または尿量が6時間にわたって0.5mL/kg/hr未満に減少した場合」と定義されている。つまり,尿量が減少しなくても,血清Cr値が上昇する「非乏尿性腎不全」もAKIに含まれる。なぜこのようなことが起こるのだろうか。
Copyright © 2014, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.