当直医のための救急手技・泌尿器系・1
尿が出ない(尿閉,無尿)
村上 信乃
1
Shino Murakami
1
1旭中央病院・泌尿器科
pp.176-177
発行日 1984年1月10日
Published Date 1984/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218879
- 有料閲覧
- 文献概要
一般にどこの施設でも,救急患者に占める泌尿器科疾患の割合は少ないようである.当院でも昭和57年度に救急センター(1〜3次救急を扱う)を受診した総患者数13,351名中,泌尿器科疾患は239名(1.8%)ときわめて少なかった.しかし即時入院を必要とする重症患者は32名(13%)と,その入院率は他科疾患の数値とほぼ同様であり,泌尿器科診療も救急部門の中で無視し得ない部門であることを示している.
多数の救急患者の中から当直医が泌尿器科疾患を鑑別診断することは,外性器の外傷や排尿の異常,血尿などの泌尿器科独得の症状を示す場合は容易であるが,その原因が多岐にわたる腹痛などの症状を示す場合には困難な例も多い。また他科の医師に良く知られていない緊急処置を要する疾患も少なくない,今回は,救急部門における泌尿器科疾患の鑑別診断とその対策について基本的な事項を,症状より分類して述べてみたい.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.