今月の主題 膵疾患診断法
膵臓の基礎知識
膵臓の働き
内藤 聖二
1
1順大内科
pp.1238-1239
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204914
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内分泌・代謝作用の検討
臓器の働きを知るためにはその臓器を全剔出して機能を完全に除去し,このために生体に起こってくる影響を生化学的に,あるいは生理学的に検討し,または他臓器を病理組織学的に検討する方法が20世紀の当初より行なわれた.それは生体を維持するためにその臓器から分泌されて血中に入る物質,血液より物質がその臓器に運搬されて入り,代謝されて他の物質になって,他の臓器に送られる作用,あるいはその臓器から産生されて,導管より排泄され他の物質の代謝に用いられる作用などが観察される.一方臨床的にある臓器に主として著明にみられる病変がある場合,血中,尿中,排泄管にみられる変化,他臓器にみられる変化を詳細に分析して,病態生理的にその臓器の作用を検討する方法がある.膵臓においてもこのような方法から種々に検討され,内分泌系の作用として,1922年頃に血糖をコントロールするインスリンが発見された、しかし膵を全剔出して高血糖,糖尿病となった動物,あるいは人体にインスリンを注射して血糖を正常化せしめるだけでは生命の維持ができない.数ヵ月後には衰弱の一途をたどり,脂肪肝の出現,脂肪性下痢,るいそう,食欲不振,貧血,電解質異常などが起こってくることが確められている.
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