徹底分析シリーズ 未来への麻酔科学教育
私の臨床教育法:東京医科歯科大学の場合―議論!議論!フィードバック!!
山本 寛人
1
Hiroto YAMAMOTO
1
1東京医科歯科大学医学部 麻酔・蘇生・ペインクリニック科
pp.1188-1192
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101996
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「学生なんだから,そろそろ実習なんて切り上げて,遊びでも部活でも行ってきていいよー」
平日の昼過ぎに某診療科の指導医から臨床実習中の学生にかけられた言葉である。実際によくある光景ではある。しかし,その学生はその科の実習後のアンケートにこう書いたそうだ。
自分は,研修医でも医師でもない,学生としての立場でしか経験できないこの臨床実習の瞬間を,とても大切にしている。それなのに指導医があまり熱心でなくて残念だ。
医学教育分野で活躍されているある医師は「学生の上位2割は自らの力で自己研鑽できる。下位2割はどんなによい教育を提供しても勉強しない。だから教育システムの充実は真ん中の6割に寄与するもの」と言う。しかし,われわれの提供している実習は,下位2割に合わせてしまっていないだろうか。学生が楽な実習は,教員も楽なのである。そして冒頭のエピソードのようなことが起こるのではないか。
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