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本特集は2013年第60回日本麻酔科学会学術集会の会長企画『TCI, Open-TCIの無理難題をエキスパートに解決してもらおう』をもとにまとめたものである。
日本でも短時間作用性の静脈麻酔薬が普及し,単純なワンショット,シリンジポンプでの一定速度での持続投与という“投与速度”の時代から,“濃度”で管理する標的濃度調節持続静注target controlled infusion(TCI)が可能になって久しい。多くの麻酔科医が,薬物動態学,薬力学の恩恵を日々の臨床で体感している。しかし,プロポフォール以外の薬物ではまだ古典的な単回投与や持続投与が主であり,“濃度”や“効果”で管理するというTCIの恩恵は受けていない。
欧州では,“open TCI”が可能な商用ポンプがすでに入手可能である。TCIがプロポフォール以外の薬物でも可能となり,同一薬物でも複数の薬物動態モデルが選択可能となっている。TCIモードも血中濃度コントロール以外に効果部位濃度でコントロールが可能であり,日本でも待望されている。
学会講演では,あらかじめ日本静脈麻酔学会会員から質問を募り,その質問へのエキスパートによる回答や,来る“open TCI”時代に備えた知識を紹介した。本徹底分析では,時間の関係で学術集会では割愛された内容も加筆してもらっている。これで読者の日々の麻酔管理のブラッシュアップと,明日の麻酔管理の方向性,現時点で予想される問題などを理解してもらえると思う。
open TCIにより,レミフェンタニル,ロクロニウムなどでもTCIが可能になるパワフルさ,プロポフォールのジェネリックでもTCIが可能,一つの薬物に複数の薬物動態モデル,効果部位濃度TCIも選べる自由度などがわれわれの武器となる。一方,複数のモデルによる“新たな渾沌”,複数の薬物による“間違いの増大”も危惧される。ともあれご期待いただきたい。
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