徹底分析シリーズ 腎臓を守れ!麻酔科医
腎臓と全身臓器との関連,アウトカム―腎機能低下は多臓器不全の前触れか
坂本 壮
1
,
杉田 学
1
SAKAMOTO,Sou
1
,
SUGITA,Manabu
1
1順天堂大学医学部附属練馬病院 救急・集中治療科
pp.986-989
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101944
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術後に腎機能低下が起こると入院期間が長くなり,死亡率も上昇することが知られている。これには,腎臓そのものの機能低下のみならず,心機能低下や呼吸不全など,腎機能低下に伴う多臓器への影響も関与していることが示唆される。
日本の慢性腎臓病chronic kidney disease(CKD)患者数は,2005年で約1330万人にのぼり,成人人口の12.9%を占める。発症率・有病率は増加しており,2011年の透析患者数は30万人に達し,人口100万人当たりの患者数は2126名と,台湾に次いで世界第2位である1)。すなわち定時,緊急を問わず,CKD患者が手術を受けることは,もはやまれではない。CKD患者特有の併存疾患を考えると,むしろ頻度は高くなる。併存疾患によって手術リスクが高まることが明らかでも,外科的処置を避けられない症例は多く,その場合は,起こり得る反応を予測し,適切な集中治療が必要となる。
本稿ではCKD患者において,腎機能が急激に悪化した場合に起こり得る多臓器への影響と,その転帰について解説する。
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