Japanese
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特集 心房細動とQOL
アウトカム研究における健康関連QOLの測定
Measurement of Health-related Quality of Life in Outcomes Research
福原 俊一
1
Shunichi Fukuhara
1
1京都大学大学院医学研究科理論疫学
1Department of Epidemiology and Health Care Research, Kyoto University Graduate School of Medicine and Public Health
pp.1147-1155
発行日 2001年12月15日
Published Date 2001/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902387
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はじめに:EBM時代におけるQOL研究
Evidence-based medicine(EBM)は古くて新しい概念である.近代医学は,病理組織学的なエビデンスに始まり,病態生理・生化学,分子生物学,そして遺伝医学的エビデンスに依拠して今日まで発展を遂げてきた.呼吸・循環器医学領域も例外ではない.この意味では,EBMは「前からやっていたこと」であり「当たり前のこと」である.しかし,EBMの最近の動きはわが国の医学に対して非常に重要なメッセージを伝えている.それは「医学」と「医療」は完全に同一のものではないということである.わが国の医学は主に生命医学を中心に追求されてきたため,医療に関する科学をほとんどかえりみなかったという経緯がある.EBMは医療に関するevidenceを求めているのである.
この医療に関するevidenceを生み出す研究として,アウトカム研究,ヘルスサービス研究は,北米を中心にこの20年間急速な発展を遂げてきた1).このような研究は,人口の高齢化,慢性疾患の増加,テクノロジーの急速な進歩などに伴う医療需要の増加や医療の高額化のなかにあって,有限の医療資源をいかに有効に配分するかという今日の社会的ニーズにも合致していた.
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