巻頭言
腎を端緒に多臓器不全を制御するには
土井 研人
1
1東京大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学
pp.521-522
発行日 2022年3月25日
Published Date 2022/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000101
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血液透析を中心とした人工腎臓は,廃絶した腎機能を代替するrenal replacement therapy(RRT)としての役割を担っており,重要な生命維持治療の1つである。ほかにも人工呼吸器や体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO),補助人工心臓(ventricular assist device:VAD)などが集中治療領域で広く使用されている。これら人工臓器は重症患者の生命維持に必要不可欠である一方で,複数の人工臓器を必要とする多臓器不全症例の生命予後はきわめて悪いことが数多くの臨床研究で報告されている。すなわち,現状の人工臓器治療は重症の多臓器不全症例を救命するには不十分であるといわざるをえない。
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