徹底分析シリーズ 周術期の輸血療法
―妊産婦の輸血―予防・予知・早期発見で母体と児の二つの命を救う
田中 政信
1
,
間崎 和夫
1
,
前村 俊満
1
Masanobu TANAKA
1
,
Kazuo MASAKI
1
,
Toshimitsu MAEMURA
1
1東邦大学医療センター大森病院 産婦人科
pp.1156-1159
発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101671
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妊産婦に行う緊急手術は,帝王切開術(帝切)がほとんどであると言っても過言ではない。ほかに異所性妊娠の破綻や,付属器疾患の破裂と茎捻転などもあるが,複数の生命を扱い,さらに大量の出血や母体合併症を伴っていることが多いという視点から,帝切が最も緊急度の高い手術である。
大量の出血が予測される疾患では,あらかじめ一定量の自己血を貯血しておくことにより,大量出血という緊急時に慌てることなく対応できる。妊産婦の輸血のキーワードは「自己血貯血」である。
また,予定帝切は気持ちのうえでも落ち着いて施行できるが,緊急帝切は母体・胎児の両者または一方の状態がよくない場合に行うものであり,そこには麻酔科医は当然のこと,新生児科医や助産師,看護師,輸血に関連したスタッフなどとの協働が必須である。緊急時を想定したシナリオで,連携,行動の訓練を常に行っておくことが重要である。
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