徹底分析シリーズ 痛みのバイオロジー
脊髄内で痛みはどのように修飾・伝達されるのか―重要な役割を果たす介在ニューロン 神経因性疼痛のメカニズムの解明はまだこれから
髙澤 知規
1
Tomonori TAKAZAWA
1
1群馬大学大学院医学系研究科 脳神経病態制御学講座 麻酔神経科学
pp.472-476
発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101524
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「痛みの伝達経路においては,脊髄が重要である」
麻酔科医であれば,このことに異論を唱える人は少ないでしょう。脊髄周囲のくも膜下腔に局所麻酔薬を注入すれば痛みを遮断できることを,何度も体験しているからです。脊髄くも膜下麻酔後のレベルチェックの際に,患者に「触られている感じは,まだわかりますけど」と不安そうに言われて,「大丈夫ですよ。痛みはないはずですから」と笑顔で答えます。しかし,痛みや触覚などの体性感覚が脊髄でどのような情報処理がされているのかを,正確に答えられる麻酔科医は少数かもしれません。
本稿では,痛み伝達にかかわる脊髄の解剖学や,神経因性疼痛などでみられるアロディニアがなぜ起きるのかなどに触れながら,脊髄内で痛みがどのように修飾,伝達されるのかを掘り下げます。さらに,麻酔科医になじみ深い全身麻酔薬が,脊髄でどのような作用をもつのかについても触れます。
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