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はじめに
近年,グリア細胞による情報伝達への関与が広く注目を集めている。これまでは活動電位を発生しないという事実から電気的には静かな細胞(idle cell)とみなされ,神経活動にはさほど寄与していないと考えられてきたが,ことに細胞内カルシウム濃度の測定をきっかけとして,グリア細胞の能動的な機能の存在が強く示唆されてきている1,3,21)。また,三者間シナプス(tripartite synapse)3)やグリア-ニューロン回路網(glia-neuron networks)16)といった新しい概念が次々と提唱され,脳機能の本質を理解するためにはグリア細胞の関与も考慮する必要が生じてきた。
筆者らは,細胞レベルでのニューロンとグリア細胞との相互作用に注目しているが,それを直接的に証明するために,ニューロン付随性グリア細胞という細胞に着目した。ニューロン付随性グリア細胞の存在自体は,ラモン・イ・カハール(Ramon y Cajal)のスケッチ1)にもみられるように,神経系の研究の初期から知られていた。しかし,この細胞の研究については,虚血性変化や軸索切断など病的な状態における報告はいくつかあるものの4,14,23,24,30),電気生理学的・形態学的性質の詳細や生理的機能を報告したものはほとんど見当たらない。本稿では,ニューロン付随性グリア細胞の性質およびニューロンとの相互作用についての筆者らの研究成果を示し,この相互作用の生理的意義について述べる。
Abstract
Recently, it has been demonstrated that glial cells express a variety of ion channels and neurotransmitter receptors and can modulate the neuronal activities. We focused on interneuron/peri-interneuronal glial cell pairs in the hippocampus to investigate the direct interactions between these cells. The peri-interneuronal astrocytes suppressed the excitatory postsynaptic currents in an adjacent interneuron through the presynaptic mechanism. Moreover, peri-interneuronal astrocytes activation modulated the interneuronal firing pattern with time dependent manner. These results indicate that peri-interneuronal astrocytes play important roles in the modulation of hippocampal excitability.
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