徹底分析シリーズ 3.11から学ぶ
被災地における緊急時産科医療とその後―手術中止の方針のなか帝王切開は県内でも行っていた
河村 真
1
KAWAMURA, Makoto
1
1埼玉医科大学総合医療センター 産婦人科(前 埼玉県立小児医療センター 麻酔科)
pp.234-239
発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101471
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手術室で働く麻酔科医には,個々の患者に麻酔(周術期全身管理)を提供する役割と,手術部の運営を担うコーディネーターとしての役割とがある。
帝王切開は「最も延期しにくい手術」である。災害時,一麻酔科医としてどう帝王切開に向き合うか。麻酔法という面では,帝王切開は脊髄くも膜下麻酔で行われることが多いが,全身麻酔も選択できるし,状況によっては,局所麻酔+鎮静でも可能である。ただし,癒着胎盤など,大量出血が予想される症例では,輸血準備や子宮動脈塞栓術などの止血バックアップが必要になることもあり,そのようなハイリスク症例は,広域搬送を考慮することになるだろう。
今回のような広域災害においては,1件1件の帝王切開準備をどうするかということ以上に,その地域全体で(限られた医療資源のなかで),必要な分娩(帝王切開も含めて)をどのように行うか,搬送体制も含めたコーディネートが決定的に重要であり,その意味では,「手術部の運営を担う」麻酔科医としての役割が大切になる。
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