緊急特集 東日本大震災で揺れた私たち
被災地にはいない私たちの動揺
名越 康文
pp.23-25
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100850
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地下街で感じためまい
1995年の阪神大震災のとき、僕は震災直後の神戸に、精神科医として被災地支援に入りました。がれきの山のなかで医療支援をおこなった帰り道、ある種のめまいを覚えたことをよく記憶しています。
3日間の被災地支援から帰ってきて、梅田の地下街に入ると、そこには商品があふれている。食糧はもちろんのこと、ケーキや嗜好品であふれんばかり。別に「けしからん! 現地ではまだまだ困っている人がいるのに」とは全く思わなくて、ただただ「めまい」がしたのです。メリーゴーランドに乗りながら周囲の風景を眺めているような、とても不思議な感覚でした。
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