徹底分析シリーズ 最近の癌治療
心肺機能予備力への癌薬物療法の影響―主役を助ける脇役なのに時に悪役になる癌治療薬
佐々木 治一郎
1
,
大谷 咲子
1
,
井川 聡
1
SASAKI, Jiichiro
1
,
OTANI, Sakiko
1
,
IGAWA, Satoshi
1
1北里大学医学部 呼吸器内科学
pp.122-130
発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101445
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近い将来,日本人の2人に1人が癌で死亡する時代が到来する。しかし遠い未来には,癌は完治し得る病気へ変化するかもしれない。現在はまさに過渡期であり,“癌を治す”ことを目的に,手持ちの策をありったけ投入する集学的治療で対処している。そんななかで,“癌を治す”可能性を秘めた新しい薬物として注目されているのが分子標的治療薬である。分子標的治療薬を中心とした最近の個別化治療は,外科療法を含む集学的癌治療にも変化を及ぼしている。分子標的治療薬を含め,抗腫瘍薬には心血管毒性や肺毒性をもつものがあり,保守本流の外科療法にマイナスの影響を与えるリスクを含んでいる。
本稿では,根治を目指す集学的癌治療における薬物療法の立ち位置を明確にし,抗腫瘍薬による心血管毒性や肺毒性を解説する。術前→術中→術後と移っていく癌薬物療法の心肺機能へのリスクを麻酔科医と共有することを目的とする。
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