Japanese
English
方法と装置
換気予備指数—換気能より見たる心肺機能の予備能力の新指標
Ventilatory Reserve Index.--New Index for the Ability of Ventilatory Reserve in the Cardiopulmonary Function.
藤本 淳
1
,
西山 実
1
,
田中 衞
1
Kiyoshi FUJIMOTO
1
1大阪大学医学部第一外科
11st surgical clinic of Osaka University, Medical School
pp.425-429
発行日 1956年5月15日
Published Date 1956/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200370
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肺の換気能力に関する研究は,19世紀以来多くの人々によつて行われ,臨床的にも色々と用いられている。然しそれらの個々のものは,換気状態を表現しているのみで換気能としてとりあげるには不充分なものである。勿論,現在換気状態より経験的にその患者の能力を判定する方法がとられているが,この様な考え方は臨床医学の各方面に用いられているもので我々もそれを軽視するものではない。然し患者の能力を簡単に且つ,正確に表現する方法を求めることに努力を払うことは臨床家としての道であろう。この様な問題は胸部外科の発展と共に必至のものとなつて来た。即ち肺癌,肺結核等に対して肺切除を行う事は,治療として適正なものである。然し患者にとりこの肺の欠損にも拘らず福音となるであろうか否かと云う事である。心臓外科の分野特に後天性心疾患では多くの患者は,呼吸困難と云う運動制限を主訴とする事が多い。この呼吸困難が,心臓をめぐる循環異常による二次的のものである事は事実としても,これが手術に対して如何なる影響を有するかを決定する事は臨床家にとつて大切な事である。更に患者が好転して退院する際に自己の能力を知る事を欲するものが多い事はすべての臨床家にとり経験されるところであろう。之等に対して従来の多くの換気状態の検査がよき解答を与えない事は我々の屡々経験する事である。
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