症例検討 脊髄くも膜下麻酔~だから脊麻はすごい,だから脊麻はこわい~
―抗凝固療法中の緊急帝王切開―術前情報から手術開始時間を決定 さらに血液凝固検査で脊麻の適応を判断する
伊澤 仁志
1
IZAWA, Hitoshi
1
1健貢会総合東京病院 麻酔科(前 都立大塚病院 麻酔科)
pp.1004-1009
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101361
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症例
38歳の女性(4経妊,0経産,妊娠36週1日)。身長152cm,体重72kg(妊娠前体重65kg)。抗リン脂質抗体症候群の診断で,低用量アスピリン(81mg/日)および未分画ヘパリン〔カプロシン(5000U,2回/日)〕を継続中である。妊娠30週頃に妊娠高血圧症候群と診断され,胎児発育不全も認め入院管理されていたが,血圧のコントロール不良となり,緊急帝王切開術が予定された。依頼時の血圧は168/110mmHg,心拍数80bpm。最終飲食は当日の朝食(2時間前)。食後にアスピリンを内服したが,カプロシンは前日の夜が最終投与で,12時間以上経過している。検査所見では,ヘモグロビン10.5g/dL,血小板数12万/μL,血清クレアチニン1.2g/dL。児心音異常は認めず,これ以上の血圧上昇を認めないかぎり,手術開始まで数時間の猶予はある。
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