特集 日常診療上の狙いと盲点・II
産科領域における最近の傾向と変遷
帝王切開の適応
竹岡 秀策
1
,
山岸 亜人
1
,
佐々木 静子
1
Shusaku Takeoka
1
1賛育会病院産婦人科
pp.392-396
発行日 1973年5月10日
Published Date 1973/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204821
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妊婦はもとより産科医たる者は誰しも,妊娠の診断が確定した時から妊娠の順調な経過と胎児の健やかな発育と自然な危険のない分娩を望むことであろう。以前に比べれば分娩時の母児の安全性ははるかに大きくなつたとはいえ,まだまだ計り知れない部分で大小の危険が分娩をとりまいている。その昔死んだ母体より,せめて胎児を救おうと行なわれた帝王切開術も時代の変遷を経て,現在では母体にとつても児にとつてもかなり容易で安全な娩出方法の一つとなつた。化学療法剤の発達,輸血輸液の充分な準備,麻酔の進歩に伴う手術の安全性の増大は帝王切開の適応をだんだんと拡大させまた妊婦の高齢化,社会的な要請,医師と患者の不信感,人手不足などがさらに産科学的適応を超えて帝切の増加に拍車をかけている。
しかしながら大きな目で母児両方の予後を見ると帝切は必らずしも長所,利点のみとはいえず種種の問題点が指摘されている。
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