症例ライブラリー 無痛分娩中の帝王切開
無痛分娩中の「超」緊急帝王切開
松田 祐典
1
Yusuke MAZDA
1
1埼玉医科大学総合医療センター 産科麻酔科
キーワード:
硬膜外麻酔
,
迅速脊髄くも膜下麻酔
,
RSS
,
全身麻酔
,
超緊急帝王切開
,
鎮静
Keyword:
硬膜外麻酔
,
迅速脊髄くも膜下麻酔
,
RSS
,
全身麻酔
,
超緊急帝王切開
,
鎮静
pp.130-133
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202820
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■症例
34歳の女性。1経妊0経産。身長158cm,体重62kg(非妊娠時体重51kg)。特記すべき既往なし。妊娠経過は順調で,妊娠39週3日,陣痛発来にて入院。入院時,子宮口開大4cm,展退度50%,子宮収縮は3分間隔。妊婦からのリクエストがあったため,硬膜外カテーテルを挿入した。初期鎮痛薬投与終了後,20分で痛みはなくなり,持続硬膜外鎮痛を開始した。鎮痛開始から4時間,分娩進行が緩慢となり,子宮口開大8cmの段階でオキシトシンによる陣痛促進を開始。その直後に破水,しばらくして変動一過性徐脈が頻発した。産科医が内診したところ,児頭より先進する臍帯を触れ,緊急帝王切開を決定した。
■経過
麻酔科医到着時,血圧120/75mmHg,心拍数85bpm,経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)98%(酸素マスクで6L/min),冷覚消失T8/T8,modified Bromage scale 0/3(両側)。オキシトシンは中止され,産科医が用手的に児頭を挙上させていた。胎児心拍数陣痛図cardiotocogram(CTG)は心拍数140bpmで基線細変動あり。すみやかに手術室への移動を決定し,20万倍希釈アドレナリン添加2%リドカインを5mLずつ,計3回,2分間隔で投与した。手術室到着時,麻酔域は冷覚消失T4/T4,modified Bromage scale 3/3(両側)で,腹部消毒を開始し,帝王切開決定から12分で執刀開始。2分後に女児(Apgarスコア8/9,臍帯動脈pH 7.17,PCO2 64mmHg,PO2 32mmHg,BE-7.2)を得た。
Copyright © 2024, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.