徹底分析シリーズ 周術期における栄養管理
術中の血糖管理の考察―間欠的血糖測定ならば180mg/dLを目安に,慎重なインスリン投与を
江木 盛時
1
EGI, Moritoki
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 麻酔・蘇生学講座
pp.560-563
発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101257
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外科的侵襲が加わると,ストレスホルモンと称されるグルカゴンおよび成長ホルモン,コルチゾール,サイトカインなどの血中濃度が上昇し,インスリン抵抗性が増大する1~3)。このため,敗血症患者に代表される重症患者で生じる急性期高血糖と同じメカニズムで,術中においても高血糖が生じる。このストレス性高血糖は,臓器虚血の存在下ではより強く惹起されるため,肝切除術の際にプリングル法を使用する場合などは,術中高血糖はより生じやすい4)。
高血糖(200~250mg/dL以上)が発生あるいは継続することにより,浸透圧利尿や体液のシフトが生じるだけではなく,多核白血球の粘着能5)・走化能6)・貪食能7)・殺菌能7)が低下し,感染防御能が低下することが示唆されている8)。
以下,本稿では術中の血糖管理をどうするべきかについて考える。
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