症例検討 麻酔歴に問題がある患者のインフォームドコンセントと麻酔 1
局所麻酔薬アレルギー疑いの患者
診断は注意深い検査を経て 患者には正確な情報を
光畑 裕正
1
MITSUHATA, Hiromasa
1
1順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター 麻酔・ペインクリニック科
pp.783-787
発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101001
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非免疫学的要因であることがほとんど
歯科治療中の局所麻酔薬(局麻薬)による異常反応がある時に,歯科医師は「アレルギーかもしれない」と話すことが多く,患者自身も局麻薬に対してアレルギーがあると思い込んでいることが多い。しかし,局麻薬による即時型のアレルギー,特に免疫学的アナフィラキシーの頻度は非常に少ない1,2)。
局麻薬によるアレルギー反応は異常反応の1%前後とされ,そのうちの80%以上のものはアレルギー性接触性皮膚炎であり,アナフィラキシーの発症頻度はさらに低い。歯科治療中の局麻により「気分が悪くなった」原因は,非免疫学的要因によることがほとんどであり,恐怖や不安による心因性反応,迷走神経反射(失神),局麻薬中毒による中枢神経症状と循環器症状,添加アドレナリンの血管内注入による症状発現などを鑑別しなければならない(表1)。歯科治療中の局麻薬投与直後の反応は,心因性反応と迷走神経反射によることが最も多い。
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