入門講座 生化学
正確にはかるということ
小延 鑑一
1
1京大付属病院中央検査部
pp.349
発行日 1968年5月15日
Published Date 1968/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916384
- 有料閲覧
- 文献概要
前回化学はかりの説明をしたのに関連して表題について考えて見ようと思う。化学はかりには「ひょう量」や「感量」などの言葉が使われている。「ひょう量」とはあるはかりで安全に,かつ正確に測定し得る最大量であり,また感量とはそのはかりで正確に測定し得る最小量ということである。これにはいずれも[正確に測定し得る」という表現がなされている。ではこの「正確に測定し得る」の「正確に」とはどのように考えるべきであるのか。はかりが機器としてもっている構造上の誤差,測定操作上の偶発的な誤差,分銅自体の器差および浮力の影響など多くの誤差要因が考えられる。このことは「正確に」ということを文字通りに考えるのではなくて,「正確さ」がどの程度であるかと考えるべきである。これははかりの性能に関連してくる。すなわちはかりの性能は(1)感量sensitivity,(2)信頼度Precision,(3)読取限度Readability,(4)精度Accuracyの4点で評価される。
(1)感量sensitivityは等比型や不等比型などのように構造上ある誤差を伴っている。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.