症例検討 麻酔歴に問題がある患者のインフォームドコンセントと麻酔 1
巻頭言
内野 博之
1
1東京医科大学 麻酔科学講座
pp.779
発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100999
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- 文献概要
同じ手術を受ける患者に対する麻酔管理法を,均一かつ同様に施行したとしても,麻酔薬や麻酔法に対する感受性や合併症の起こり方は同じではない。術前診察の際に患者から全身麻酔や局所麻酔の既往を聴取したときに,頭に残るような合併症や経験が語られることは決して少なくない。しかも瞬時の返答に窮するような場面は,麻酔科医であれば誰もが一度は経験したことがあるのではないだろうか?そして,今回の手術でも同様の麻酔管理が求められる場合は,以前に問題となった合併症や状況が発生した原因や再発のリスクについて,いかに平易にかつ受け入れやすい態度で説明を行い,不安を与えないで患者の理解を得るかがカギとなる。
問題となった既往の再発を防ぐためには,原因のすべてを患者に押しつけるのではなく,「なぜそのようなことが起きたのか」という分析と,「防ぐことはできなかったのか」という反省,さらには回避策を見いだす真摯な努力が必要とされる。
今回の症例検討では,このような「麻酔歴に問題がある患者」に対する「インフォームドコンセントと麻酔」のあり方を,執筆者の先生方に検討をお願いした。日常の臨床に少しでも参考になればと思う。
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