徹底分析シリーズ ニューロモデュレーションと鎮痛
巻頭言
内野 博之
1
1東京医科大学 麻酔科学教室
pp.559
発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101543
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- 文献概要
痛みの治療は,薬物療法ならびに神経ブロック療法によってその多くが行われてきたが,これらの治療によっても十分な効果が得られない症例も少なくない。神経を直接刺激することでその性質に変化を誘導し,治療に結びつける治療法をニューロモデュレーション(神経調節療法)と呼んでいる。電気刺激による医学的治療の歴史は古く,古代には電気ウナギや電気ナマズによる頭痛の治療や,静電気による炎症や出血の治療の記載もあるが,本格的な医療への応用は,19世紀における表面電極や発電機の開発以後のことである。
今日,電気刺激治療を基盤としたニューロモデュレーションは,ペースメーカのみならず,脳深部刺激や人工内耳など多くの領域でさまざまに応用されている。殊に,痛み治療の領域では,経皮的電気刺激療法,硬膜外電極による脊髄電気刺激療法,脳深部刺激療法,大脳皮質運動野刺激療法,電気痙攣療法や経頭蓋磁気刺激法に加えて高周波熱凝固法が慢性痛治療に用いられている。また,最近の自動車事故でも話題になったてんかんの治療法として,迷走神経刺激療法が大きなトピックとなっている。
本徹底分析では,神経刺激によって神経の性質を修飾することで疼痛治療ならびに新規のてんかんの治療へとつながるニューロモデュレーションについて,実際に施術を行っている外科医や麻酔科医に紹介していただく。
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