徹底分析シリーズ 麻酔薬は敵か味方か
巻頭言
内野 博之
1
1東京医科大学 麻酔科学教室
pp.1053
発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101063
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- 文献概要
われわれ麻酔科医は,鎮静,鎮痛,筋弛緩と有害反射抑制を包含するバランス麻酔を実現するため麻酔薬を用いることを生業としてきた。これまで,全身麻酔で用いる麻酔薬が,生体侵襲を抑制し,患者の生命の安全を護ることができる最高のツール,われわれの味方であると誰もが疑わなかった。しかし,麻酔深度が患者の1年後の死亡率の独立因子となり得ることがMonkらによって報告され,Ikonomidouが発達過程の脳への麻酔薬(ケタミン)のアポトーシス誘発作用をScienceに報告したことや,麻酔薬による術後高次脳機能障害(POCD)や変性疾患の増悪の可能性が指摘されたことで,麻酔薬は神経毒性を有するという懸念が拡がり,決して味方ではないという声も挙がってきている。
今回は,「麻酔薬は敵か味方か」と題して,今最もホットである麻酔薬の中枢神経系に対する影響を3名の先生方に,小児脳,成人脳,ICUの鎮静という観点からご執筆いただいた。果たして麻酔薬はわれわれの敵か味方か?まずは,本徹底分析を是非御一読あれ!
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