症例検討 血管内治療の麻酔
脳血管病変に対する血管内治療の位置づけと今後の展望
若山 暁
1
,
豊田 真吾
1
Akatsuki WAKAYAMA
1
,
Shingo TOYOTA
1
1大阪脳神経外科病院
pp.166-170
発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100868
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脳血管内治療とは,マイクロカテーテルと呼ばれる細いカテーテルを用いて,血管内部から脳疾患を治療する新しい領域の治療の総称である。この新しい治療法によって,今までは治療困難と考えられた疾患,あるいは直達手術では治療侵襲が大きかった疾患を「切らずに治す」ことができるようになってきた。
この治療法の大きな利点はその非侵襲性であり,特に高齢者や重症例に対してはメリットが大きく,高齢者や重症患者が多数を占める脳卒中診療において欠かすことができない存在となりつつある。わが国では,日本脳神経血管内治療学会が認定した約600名(2009年10月現在)の学会認定医が中心となり,この治療の普及と発展に努めている。
脳血管内治療の適応範囲は広く,脳動脈瘤をはじめとする脳血管病変の塞栓術のほか1,2),脳塞栓急性期の血栓溶解療法3),脳主幹動脈の動脈硬化性狭窄病変やくも膜下出血後脳血管攣縮に対する血管拡張術,脳腫瘍に対する腫瘍塞栓術,外傷性血管損傷に対する塞栓術にまで多岐に及ぶ。この脳血管内治療の大きな柱となるのが,脳動脈瘤に対するコイル塞栓術と,頸動脈狭窄症に対する頸動脈ステント留置術(CAS)である。
本稿では,上記の2疾患に絞って,脳血管外科における脳血管内治療の役割について述べる。
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