徹底分析シリーズ 術中覚醒記憶
術中覚醒記憶がある,と患者が言った場合の対処法
飛鳥井 望
1
Nozomu ASUKAI
1
1東京都精神医学総合研究所
pp.1032-1035
発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100787
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患者が術中覚醒時に味わった不安感や恐怖感が心的外傷体験となり,精神的後遺症の発生につながる危険性が近年報告されている。ことに外傷後ストレス障害(PTSD)の概念が誕生した1980年以降は,麻酔科領域においても術中覚醒体験後のPTSD発症について関心が集まっている。PTSDとは,再体験,回避・精神麻痺,過覚醒の3症状クラスターからなる特徴的なストレス症候群である。これまでの報告では,術中覚醒自体の発生頻度はまれとされるが,強い不安や恐怖を感じたことで長期にPTSD症状に苦しむケースのあることが追跡研究の結果から確かめられている。
本稿では,術中覚醒記憶の患者に望まれる対処法,PTSD治療に関する最近の考え方について紹介する。この問題を認識し,過少にも過剰にもならない範囲で丁寧な対応が必要とされる。
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