徹底分析シリーズ 脳外科手術のControversies―2
頭蓋内圧亢進患者の脳圧をいかにコントロールするか?―“過換気”vs“薬物”によるコントロール
熊澤 昌彦
1
,
土肥 修司
1
Masahiko KUMAZAWA
1
,
Syuji DOHI
1
1岐阜大学大学院医学系研究科 麻酔・疼痛制御学分野
pp.606-609
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100686
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頭蓋内圧intracranial pressure(ICP)(脳圧)のコントロールは,脳外科手術の麻酔管理を行ううえで,日常的な問題の一つである。頭蓋内圧亢進状態が長時間継続すると,脳灌流圧cerebral perfusion pressure(CPP)が低下して脳の局所,全体を問わず虚血障害を生じる可能性が増加し,その圧が高ければ脳実質の一部が本来の位置から逸脱する(脳ヘルニア)危険を生じる。したがって,この状態が持続すると,患者の脳機能の予後のみならず生命予後にも重大な悪影響を与える。
脳外科手術患者の一部は,頭蓋内圧がすでに上昇しているか,あるいは周術期に上昇する可能性の高いリスク患者なので,これらの患者の神経学的予後を悪化させないためには,頭蓋内圧の上昇を抑制する麻酔管理,すでに上昇を認める場合には頭蓋内圧を低下させる麻酔管理,が必要とされる。従来から伝統的に行われてきた麻酔管理方法としては,過換気・薬物投与・体位・低体温などが挙げられるが,本稿では主に「過換気」と「薬物投与(バルビツレート,インドメタシン,マンニトール,ステロイド)」に焦点を絞って言及する。
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