症例検討 非心原性肺水腫
輸血関連急性肺障害(TRALI):重篤な呼吸器合併症を起こすことを考え,輸血の適応は慎重に
飯島 毅彦
1
,
中澤 春政
1
Takehiko IIJIMA
1
,
Harumasa NAKAZAWA
1
1杏林大学医学部 麻酔科学教室
pp.556-560
発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100676
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症例
45歳の女性。身長157cm,体重55kg。卵巣癌の診断にて子宮全摘術および付属器切除術が施行された。術前に特記すべき合併症はない。硬膜外麻酔併用全身麻酔にて麻酔を行った。手術時間5時間45分,術中出血量2580mL,輸液量4800mL(晶質液3800mL,膠質液1000mL),輸血量はMAP 8単位,術中尿量1280mLであった。手術終了時のHb 8.2g/dLであった。術野の止血がやや困難であったため,FFP(新鮮凍結血漿)5単位製剤をオーダーし,手術終了1時間前より投与を開始した。麻酔からの覚醒もすみやかであり自発呼吸もしっかりしていたため抜管とした。抜管後上気道閉塞はなく,聴診上肺野に異常は認められなかったため病棟へ帰室とした。帰室後より,酸素5L/minマスク投与下でSpO2 90%に低下した。マスクCPAPを開始し,胸部X線を撮影したところ,両側の浸潤陰影を認めた。再挿管を施行し,人工呼吸器にて呼吸管理を開始した。
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