特集 輸血2018―限りある資源を安全に,有効に活用するために
輸血に伴う急性の有害事象
輸血関連急性肺障害(TRALI),輸血関連循環過負荷(TACO)
田﨑 哲典
1
Tetsunori TASAKI
1
1東京慈恵会医科大学附属病院輸血・細胞治療部
キーワード:
輸血関連急性肺障害
,
輸血関連循環過負荷
Keyword:
輸血関連急性肺障害
,
輸血関連循環過負荷
pp.769-776
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika122_769
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Summary
▪TRALI,TACOはいずれも輸血に伴う呼吸障害を主症状とするが,機序や治療方針が異なり,とくにTACOが医療過誤と評価された場合は医薬品副作用被害救済制度の対象外となることからも,鑑別が重要である.
▪TRALIは非心原性急性肺障害で,世界的に汎用されている診断基準がある.他方,TACOは循環負荷がトリガーとされるが,いまだにコンセンサスを得た基準がない.
▪鑑別上,循環負荷の有無が重要である.とくにTACOでは拡張障害型心不全などの潜在的心機能障害者が注目されている.
▪厚生労働省研究班の基準,アルゴリズムは鑑別診断に有用である.
▪治療はいずれも呼吸循環管理が重要であるが,TACOは適正な輸血,すなわち予防が重要である.
© Nankodo Co., Ltd., 2018