病気のはなし
輸血関連急性肺障害
半田 誠
1
1慶應義塾大学医学部輸血・細胞療法センター
pp.410-413
発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103157
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
サマリー
輸血関連急性肺障害(transfusion-related acute lung injury,TRALI)は,輸血に伴い発症する急性肺障害(acute lung injury,ALI)で,輸血製剤中に含まれるドナー由来の抗白血球同種抗体や保存中に生じる血球由来物質によって活性化された白血球が,肺微小循環に集積し血管壁を傷害することで血管透過性が亢進した結果生じる肺水腫によりもたらされる呼吸不全をいう.診断は臨床所見で行い,循環過負荷などの心原性の低酸素血症との鑑別が重要である.症状は通常可逆性であるが,輸血に伴う死亡原因のトップとされている.抗白血球抗体が陽性となるリスクの高い経産婦ドナーの排除はTRALIの予防対策として有効であることが証明されている.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.