症例検討 非心原性肺水腫
巻頭言
志賀 俊哉
1
1東邦大学医療センター大橋病院 麻酔科
pp.531
発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100670
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- 文献概要
手術も閉創にさしかかると,頭の中はもう手術室の外にある。――今日は予想外に早く終わったな。研修医をつれてビアガーデンにでも行くか。麻酔薬を切り,純酸素にする。ふと,聞きなれない音がしてモニターをみると,酸素飽和度(SpO2)は90%のままだ。パルスオキシメータが外れかかっているのか,と思い確認するが,そうではなかった。麻酔器を手動に切り替え,バッグを押してみる。硬い。聴診器を胸壁にあてる。喘息発作だろうか。鼠径部から動脈血を採血し,ポータブルのX線撮影もオーダーする。できあがった真っ白な肺のX線写真と血液ガスデータを見て,凍りついた。
似たような経験はないだろうか。周術期の予期せぬSpO2の低下をどのように鑑別すればよいのか。麻酔と集中治療にまたがる領域でもある。平岡栄治先生による総論のあと,さまざまなシチュエーションにおける非心原性肺水腫の症例をもとに,エキスパートの先生方に解説をいただいた。
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