連載 急性呼吸不全を考える:第4回
baby lungって何?(その2)
落合 亮一
1
1東邦大学医学部 麻酔科学第一講座
pp.36-39
発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100566
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なぜ,アラームはなったのか?
ALI/ARDS症例の呼吸管理では,1回換気量や気道内圧の設定が非常に重要です。その臨床的意義については後ほど説明しますが,まずはALI/ARDSの症例では肺の状況がどうなっているのか,考えてみましょう。
前回は,肺の拡がりやすさ,つまり“コンプライアンス(C)”と,ガスの流れにくさである“気道抵抗(R)”,そして“気道内圧(Paw)”の関係をお話ししました。気道内圧あるいは回路内圧は,コンプライアンスと気道抵抗で決まります。
Paw={流量×R}+{換気量/C}
このように,気道抵抗が上がっても,コンプライアンスが低下しても,気道内圧は上昇します。
小杉さんの気道内圧アラームが鳴ったのも,コンプライアンスの低下が原因のようです。なぜって,volume controlで換気を行っている場合(つまり,1回換気量をまず決めて,吸気時間を設定する場合),最高気道内圧とプラトー圧の差が気道抵抗を表します。
最高気道内圧が30cmH2Oで,プラトー圧が25cmH2O,つまり,気道抵抗によって生じた気道内圧は両者の差の5cmH2Oしかありません。したがって,気道内圧のアラームが鳴った原因はコンプライアンスの低下によるものと推定されます(臨床メモ)。
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