発行日 1951年6月15日
Published Date 1951/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906882
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小兒科には心臟と大血管とに生れつきの畸形があつて,チアノーゼが強く,脣は勿論顏や手足の爪の色までが暗紫色を帶びた小供が時々診察を受けに來ます。この樣な小供を米國や英國ではblue bady(青い赤ん坊)と呼んでいます。このblue babyの心臟の畸形にも種々のものがありますが,その中の1つに,心臟の左右の心室の中隔に一部缺損があつて互に交通する孔があり,その上肺動脈が細くて,肺に行く血液が少いものがあります。この樣な場合血液は肺で十分酸素を取れず,その上心臟で靜脈血と動脈血とが混合するので,全身に行く血液は暗赤色即ち靜脈血性で,そのため患者にチアノーゼが強く現れるのです。こんな小供は身體の發達が悪いばかりでなく,起上つたり,少し歩いたり,御飯を食べたりする樣な,些な體運動でも,直ぐに息が切れて動けなくなつて,甚しい時には倒れて失心状態に陥ります。そんな不幸な小供に對する治療法は以前にはありませんでした。ところが,1938年頃に米國のJohns Hopkins大學のブラロック外科教授は小兒科のタウシック女醫と協同研究して,素晴らしい心臟大血管手術を考案し且つ實施しました。そして現在非常な好成績を擧げています。この手術が成功すれば,その小供のチアノーゼは去り,今まで動けなかつたのが,自由に動ける樣になり,更に或る者は1哩以上も平氣で歩ける樣になつているからです。
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