徹底分析シリーズ 周術期の輸液管理
術後の輸液管理:麻酔終了時の患者の状態を理解しよう
土井 松幸
1
Matsuyuki DOI
1
1浜松医科大学医学部附属病院 集中治療部
pp.24-29
発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100564
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
術後患者の輸液管理を計画するとき,手術終了時点での循環血液量や血清電解質の過不足のみならず術前の栄養状態,手術侵襲の大きさ,出血量と血液製剤補給とのバランス,体温の動向,術後経口摂取再開時期などを考慮に加える必要がある。特に大侵襲手術症例では,侵襲に反応して増加したストレスホルモンやサイトカインなど炎症性メディエータによる生体内代謝の変動を理解することが重要である。侵襲時には,ストレスへの対抗や創傷治癒,免疫活性化のためにブドウ糖,アミノ酸が必要となるが,通常グリコーゲン,タンパクの異化により供給される。手術手技の低侵襲化や麻酔による侵襲防御に加えて,周術期の体液バランスや栄養管理が手術患者の回復を早くし予後を改善することが明らかになった1)。
本稿では,厳密な管理が必要な症例を対象に解説するが,通常の麻酔症例では必要な項目のみ参考にしていただければよい。
Copyright © 2009, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.