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■症例
78歳の女性。身長153cm,体重54kg。当院膠原病内科にて,関節リウマチの定期的なフォローアップをされていた。症状コントロールのため,鎮痛薬としてアセトアミノフェン,トラマドールに加え,ステロイド10mgを長期間内服している。
ステロイド内服の影響から椎間板炎を繰り返し発症しており,感染症科が介入し,抗菌薬投与によって感染コントロールを行っていた。しかし,2か月が経過しても感染のコントロールがつかず,硬膜外膿瘍も発症していた。また,椎間板炎による強い痛みもあり,これまでの鎮痛薬を増量することで対応していた。
合併症として,高血圧と径7cm大の腹部大動脈瘤があり,循環器内科にて降圧薬内服で経過観察されている。
■症例経過1
膠原病内科から感染症科にコンサルトしたところ,感染の収束のためには感染巣の外科的排膿の必要があるとのことだった。しかし,腹部大動脈瘤があるため,瘤破裂のリスクを考えると腹臥位での手術は難しい。そこで,まずは側臥位で硬膜外膿瘍の排膿を行い,感染のコントロールがついたところで腹部大動脈瘤に対する手術を行い,腹臥位が可能になった後に脊椎固定術を行う方針となった。
ところが次第に腰痛が増強したうえに推算糸球体濾過量(eGFR)が30mL/min/1.73m2台と腎機能の悪化もきたしてきたため,これまでの鎮痛薬では疼痛コントロールに難渋するようになってきた。入院し,緩和医療科のコンサルトのもと,疼痛コントロールのためフェンタニル持続皮下注射が開始され,抗菌薬投与と安静にて経過をみていたが,床上での体位変換の際に腰部の激痛と下肢の放散痛が新たに出現した。X線撮影を行ったところ,椎間板炎と同部位の腰椎圧迫骨折が認められ,これが新たな痛み増強の原因と考えられた。
整形外科にコンサルトを行ったところ,下肢の放散痛もあり,症状改善のためには胸腰椎固定術が適応と考えられた。また,安静を継続していたが,次第にせん妄症状が出現してきた。フェンタニルの持続皮下注射は徐々に増量して,4週間が経過した現在の投与量は,600μg/日である。
さて,あなたならどうする?
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