巻頭カラー リハビリテーション科医が知っておくべき最新の義肢構成パーツ
5.オットーボック社製電子制御膝継手「Genium」
八幡 済彦
1
,
和田 真生
1
1オットーボック・ジャパン株式会社
キーワード:
電子制御膝継手
,
デフォルトスタンス
,
オットーボック
Keyword:
電子制御膝継手
,
デフォルトスタンス
,
オットーボック
pp.1039-1043
発行日 2024年10月15日
Published Date 2024/10/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr033111039
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
1980年,悪性骨肉腫により右大腿切断となったテリーフォックスは,がん治療研究の基金を集めるため,募金を呼びかけながらカナダ大陸を義足で走って横断することに挑戦した,その際使用した義足は,膝継手の過度の屈曲防止と伸展補助のために大きなゴムのベルトを用いたものであった 1),アルバータ大学のケリージェームスは,フォックスが義足で走っている姿を見て,義足の膝継手の研究開発を行った 2).ジェームスは,トラクターで使用されている油圧制御を見て,膝継手への応用を思いついた 3).そしてその研究成果を1992年にシカゴで行われたISPO(International Society for Prosthetics and Orthotics)学会において発表した.そのアイディアをオットーボック社が譲り受け,歩行速度追随性等の完成度を上げて製品化したものがC-Legである.C-Legは,世界で初めて立脚相と遊脚相の歩行のすべてを電子制御する膝継手として1997年に誕生した.C-Legは立脚相のリアルタイムな電子制御によって従来の機械式膝継手より危険を回避できるものである 4).オットーボック社はC-Legで長年培った電子制御膝継手の技術と経験を活かしてさらなる改良開発を続けている.現在ではC-Legの後継であるC-Leg4,低活動者に特化したKenevo 3C60(ケネボ) 5),本稿で紹介するGenium 3B1(ジニウム:以下,本膝継手)を販売している.
本膝継手は,オットーボック社の最高技術を結集した電子制御膝継手である(図1).
Copyright© 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All rights reserved.