症例検討 病棟における気道確保と緊急気管挿管
急性呼吸不全アプローチにおけるNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)の位置づけ
赤田 信二
1
,
竹田 晋浩
1
Shinji AKADA
1
,
Shinhiro TAKEDA
1
1日本医科大学 麻酔科学教室
pp.344-345
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100287
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NPPVの位置づけ:呼吸不全早期の段階から積極的に使用
非侵襲的人工呼吸(NPPV)は古くから行われてきていたが,1960年代に気管挿管による侵襲的人工呼吸へと主流は変わっていった。しかし,従来の気管挿管による人工呼吸は気道裂傷,出血など,いろいろな合併症を引き起こすことがあり,また気管挿管の施行,人工呼吸の維持を行うためには麻酔薬や筋弛緩薬など循環器系に影響を与える薬物の使用が必要となる。現在行われるようになったマスクによるNPPVは,もともと神経筋疾患患者の夜間低換気に対する治療として用いられたことが始まりである1,2)。その後,胸郭変形,神経筋疾患,中枢性呼吸ドライブ不全に対し用いられるようになった。
ICU領域でも,より簡単にまた侵襲が少ない方法として1990年代初頭にNPPVが再び注目され始めた。過去においてもNPPVは試みられていたが,その効果は認められなかった。再び行われるようになったのは医療技術の発達により,優れた性能を持つ人工呼吸器が販売されるようになったためである。表1にNPPVと気管挿管による呼吸管理の比較を示す。NPPVは気管挿管に比べ簡単に用いることができるため,適応があれば呼吸不全早期の段階から積極的に使用していくべきであると考える。
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